タンパク質ワールド仮説というのが生物起源の新しい仮説としてあることを「自然学」で知りました。
自然学 自然の「共生循環」を考える
http://www.press.tokai.ac.jp/bookdetail.jsp?isbn_code=ISBN4-486-01561-4http://store.shopping.yahoo.co.jp/boox/bk-4486015614.html進化的起源説では最もそれらしいもののように感じます。
http://www.origin-life.gr.jp/Japanese/ ただし、私には、一見、下記の「自然学」からの引用の内容は唯物的内容のみで成り立つように見えますが、相対的関係なしでは成り立たない内容であると思われる内容が基本的な相互作用の中にあると思います。
生命誕生のベースとなる基本法則
【第1法則】地球上で起こった現象は,全体としてはより単純なものからより複雑なものへと,科学的な原則の下で起こる必然的な流れに沿って進行する。
無機物 → 単純な有機酸 →[GADV]−アミノ酸 → [GADV]-タンパク質ワールド → ヌクレオチドの形成 → タンパク質-RNAワールド → 現在の生命システム(タンパク質-RNA-DNAワールド)
【第2法則】水の惑星(地球)で生まれた生命は,親水性化学物質と疎水性(油性)の化学物質との相互関係によって,内と外の関係を生み出し生命の誕生へとつながった。
球状タンパク質の形成 → 物質循環システムの形成 → 細胞膜の形成 → 生命システムの形成
【第3法則】(低)分子の重合と高分子に見られる水中での分子内相互作用(単位とその集積)によって組織化が進んだ。
アミノ酸とタンパク質,ヌクレオチドと核酸,糖と多糖,脂肪酸と脂質,タンパク質サブユニットとタンパク質複合体,細胞と器官・組織,多細胞生物
【第4法則】生命誕生への道筋の基本は以下のようである.
タンパク質(アミノ酸)→ 核酸(ヌクレオチド)→ 細胞膜(脂質)
生命の基本システムは,遺伝子とその情報にしたがって形成されるタンパク質,タンパク質が実行する代謝,およびそれらを包み込む細胞膜から成り立っている。しかし,その中でも最も基本となっているのが,生体触媒(酵素:タンパク質)であり,その生体触媒が行う代謝である。なぜなら,[GADV]−タンパク質ワールドから生命の起源に至る第一歩が踏み出されたのであり,代謝の原型がそこに見られるからである。
【第5法則】擬似複製からトータルとしての自己複製システムヘ生命活動にとって,最も重要な自己複製システムの完成は,単一分子では不可能であり,2重鎮構造を持つRNAまたはDNAとそれを触媒するタンパク質からなる複合システムの出現まで待たなければなかった.したがって,それ以前に見られたシステムは自己複製システムではあり得ず,あったとしても擬似複製システムでしかあり得なかった.その意味でも,[GADV]−タンパク質による擬似複製は他の色々なシステムを想像しても最も簡単で効果的なシステムであると考えることができる。
【第6法則】多様な相互作用と鍵と鍵穴(複雑化への道筋)
現在の地球上に見られる生命システムは極めて巧妙で,見事に作り上げられている。このことが可能となったのは単純なタンパク質の会合からはじまる単純なシステムから,より複雑なシステムヘの階層構造であり,これを可能にしたのはタンパク質を中心とする多様な相互作用による鍵と鍵穴を基礎とする相補性の積み上げによるものである。
また、[GADV]とは、ミラー=ユーリーの実験で出来るグリシン[G],アラニン[A],アスパラギン酸[D]、バリン[V]で構成されるタンパク質を意味しているらしいが、
ジョナサン・ウェルズによれば、
「1970年代、科学者たちが、地球初期の大気は決してミラーとユーリーによって用いられたガスの混合のようなものでなかった、という結論を出し始めたときにやってきた。地球の初期の大気は、科学者がいう「還元的な」、すなわち水素の豊富な環境ではなくて、たぶん火山によって放出されたガスから成っていた。今日この点について、地球化学者たちはほとんど意見が一致している。しかし、では、これらの火山のガスをミラー=ユーリーの実験装置の中に入れたらどうなるか。実験はうまくいかない―すなわち、いかなる生命の「組み立てブロック」も生じないのである。」
とあるから、仮にそうであっても神様がミラーの実験のような特殊な環境をその中に何らかの奇跡的な所業でつくらない限り出来ない
ということになるかも知れません。
ただ、今後、この仮説は著者の説明によればRNAワールドよりも合理的とは思われるので注目されるかも知れません。