1)UB型ひも理論の結合定数が大きくなっていくと、私たちに依然理解できる物理的属性は、弱い結合のUB型ひも理論の物理的属性とぴったり一致する。
2)UB型ひも理論は自己双対だ。具体的には、詳細な分析から、かりにUB型の結合定数がIより大きいときの物理は、その値を逆数(つまり、1より小さい値)に変えたときに生じる理論と完全に同一だと納得できる。
3)環状次元をプランク以下のスケールの長さに押しつぶそうとしたときに似て、UB型の結合定数の値を1より大きくすれば、その結果として生じる理論は、自己双対性によって、結合定数が1より小さいときのUB型ひも理論とちょうど等価になる。
●5つのひも理論の双対記述予測のまとめ
1)物理学者は一九八○年代半ばにはすでに、ひも理論を5つ組み立てていたが、摂動論の近似法では、この5つはすべて別物であるように見えた。
2)摂動法が有効なのは、あるひも理論のひも結合定数が1より小さい場合だけであり、物理学者はどのひも理論のひも結合定数も正確に計算できるはずだと考えたが、現在わかっている近似的方程式では、これは無理であった。
3)5つのひも理論それぞれについて、結合定数が1より小さい値と大きい値(つまり、弱い結合と強い結合)をとる場合を研究しようとしているが、従来の摂動法からは、どのひも理論についても強い結合特性の洞察は何も得られない。
4)近年、超対称性の力を利用して、ひも理論の強い結合の特性のいくつかを計算するすべを身につけてきたが、ウィッテンはこれを利用して、ヘテロOひも理論の強い結合特性が、I型ひも理論の弱い結合の物理と同一で、その逆も成り立つらしいことを明らかし、さらに、ハルとタウゼンドによる研究から、UB型ひも理論の強い結合の物理は、結合が弱いときのこの理論そのものの特性と同一であることがわかった。
5)この思いがけないつながりによって、物理学者たちはウィッテンの5つのひも理論は双対記述だという予測を正しいと信じるようになり、他の二つの理論、UA型とヘテロEが全体的状況にどうおさまるのかを見るように促された。
(参考「エレガントな宇宙」)