2008年09月10日

Re: 利己的な遺伝子 有性生殖では遺伝子を決定することは出来ない?

「利己的な遺伝子」
http://www.amazon.co.jp/dp/4314010037/

の、p.52には、ドーキンス博士が遺伝子の自然淘汰がなぜ可能だとお考えになっているのかの説明が書かれています。

それは一言で言えば、「他の条件が同じであれば」、
対立遺伝子より生存に有利に働く遺伝子があるかもしれない、
という観点です。

ここで非常に重要なのは、他の条件を同じにした場合を考えている、
ということです。

しかし、ここで考えてみなければならないのは、
有性生殖の場合、遺伝子の異なる組み合わせが無限に出てきますので、
他の条件を同じにすることは出来ません。

また、p.34にありますように、遺伝子は他の遺伝子との相互作用があり、
無数の遺伝子と前後参照してはじめて意味をなすものですから、
遺伝子の組み合わせが変われば、当該遺伝子の働き方も変わってしまい、
同じ方向に働くとは限りません。

したがって、当該遺伝子を決定することは出来ないということになってしまうはずです。


「独立した自由な遺伝子が世代から世代へ旅をするのだが、
それらは胚発生の制御においてはあまり自由な因子でも独立した因子でもない。
それらはとてつもなく込み入った方法で、お互いと、また外部環境と協力し、相互作用をおこなっている。

「長い肢の遺伝子」とか「利他的行動の遺伝子」とかいうような表現は、話をわかりやすくするための比喩で、重要なのはそれが意味するものを理解することだ。
長いにせよ短いにせよ肢を独力でつくる遺伝子はない。
肢の構築は、複数の遺伝子の協同事業である。

外部環境の影響も不可欠である。
つまり、肢はじっさい食物からつくられるのだ!

しかし、他の条件が同じであれば、他の対立遺伝子の影響下にあるよりは肢を長くする傾向をもつ、単一の遺伝子があるかもしれない。」 p.52


「現代の自己複製子についてまず理解しなければならないことは、非常に群居性が強いという点である。

一つの生存機械はたった一個のではなくて何十万もの遺伝子を含んだ一つの乗り物である。
体を構築するということは、個々の遺伝子の分担を区別するのがほとんど不可能なほど入り組んだ協同事業なのである。
一つの遺伝子が、体のいろんな部分に対してさまざまに異なる効果を及ぼすことがある。

また、体のある部分が多数の遺伝子の影響をうける場合もあれば、ある遺伝子が他の多数の遺伝子との相互作用によって効果をあらわすこともある。

また、なかには、他の遺伝子群のはたらきを制御する親遺伝子のはたらきをするものもある。

たとえていえば、設計図のそれぞれのページには建物のそれぞれ異なる部分についての指示が書かれており、各ページは他の無数のページと前後参照してはじめて意味をなすのである。」 p.34



posted by pocs at 07:28| Comment(0) | 進化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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