2008年08月21日

Re: 利己的な遺伝子 「自己複製子」の論理的矛盾

ご意見を受けまして、自己複製子について
もう少し論点をはっきりさせて書いてみたいと思います。

「利己的な遺伝子」の
http://www.amazon.co.jp/dp/4314010037/
p.21からp.22にかけて、原始スープのなかで自己複製子が生まれたときの様子が書かれています。

「大型有機分子は濃いスープの中を何ものにも妨げられることなく漂っていた。
あるとき偶然に、とびきりきわだった分子が生じた。
それを自己複製子とよぶことにしよう。それは必ずしももっとも大きな分子でも、
もっとも複雑な分子でもなかったであろうが、自らの複製を作れるという驚くべき特性をそなえていた。

これはおよそおこりそうもない出来事のように思われる。たしかにそうであった。
それはとうていおこりそうもないことだった。人間の生涯では、こうしたおこりそうもないことは、実際上不可能なこととして扱われる。
それが、フットボールの賭けで決して大当りをとれない理由である。
しかし、おこりそうなこととおこりそうもないことを判断する場合、われわれは数億年という歳月を扱うことになれていない。もし、数億年間毎週フットボールに賭けるならば、必ず何度も大当りをとることができよう。

実際のところ、自らの複製をつくる分子というのは、一見感じられるほど想像しがたいものではない。
しかもそれはたった一回生じさえすればよかったのだ。

鋳型としての自己複製子を考えてみることにしよう。それは、さまざまな種類の構成要素分子の複雑な鎖からなる、一つの大きな分子だとする。
この自己複製子をとりまくスープの中には、これら小さな構成要素がふんだんに漂っている。今、各構成要素は自分と同じ種類のものに対して親和性があると考えてみよう。

そうすると、スープ内のある構成要素は、この自己複製子の一部で自分が親和性をもっている部分に出くわしたら、必ずそこにくっつこうとするであろう。
このようにしてくっついた構成要素は、必然的に自己複製子自体の順序にならって並ぶことになる。このときそれらは、最初自己複製子ができたときと同様に、次々と結合して安定な鎖をつくると考えてよい。

この過程は順を追って一段一段と続いていく。これは、結晶ができる方法でもある。
一方、二本の鎖が縦に裂けることもあろう。
すると、二つの自己複製子ができることになり、その各々がさらに複製をつくりつづけることになるのである。」


ここで、
「あるとき偶然に、とびきりきわだった分子が生じたのが自己複製子」
だと書かれており、その特性として
「自らの複製を作れる」
とありますが、これは、論理的に矛盾しています。

といいますのは、その次に、この自己複製の特性を実現しうる特徴として、
「親和性」と書かれていますが、
親和性だけでは、吸着する一方で、もとの形に分裂することができません。
にもかかわらず、
ここでは、このことについて、
「一方、二本の鎖が縦に裂けることもあろう。」
と、曖昧なことしか述べておらず、
これは親和性とは相反する内容です。

もし、科学的にこれを説明しようとするならば、この分裂がなぜ起きるのかを説明しなければならないと思います。

吸着すれば分子的に安定しますので、このままずっと吸着した状態で何億年も存在することでしょう。
せっかく数億年に一回の、奇跡的な自己複製子も吸着とともに安定化してしまい、
数億年は無に帰してしまうことになります。

ですから、自己複製がスタートするには、
自己複製子とは別に、これを分割する分子分割子が必要です。

親和性による吸着と、この吸着した自己複製子をきれいに分割する分子分割子が、同時に必要だということです。

この2つが同時に成り立たないと自己複製は出来ません。

ここに、自己複製子と分子分割子との相対的関係が、自己複製という現象に先立って存在しているということが出来ます。

ですから、ただの偶然では自己複製は始まりません。

この両者は、この自己複製子にはこの分子分割子という、
相互補完的な関係でなければならないからです。

科学的帰結からは導き出され得ない、自己複製子と分子分割子の相対的授受相関対応関係がここに成立しています。

したがって、これは存在世界における根本原理的関係であり、
存在世界に見られる絶対者による作用だということが出来ます。

そして、ここにおいて、絶対者によって意図された目的とは、
生物という存在を可能にするための基本となる自己複製機能の実現、ということです。



posted by pocs at 06:56| Comment(0) | 進化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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